美しい歯並びになりたいけれど、矯正器具を付けることに抵抗がある、という人は多いと思います。特に結婚式など人生の大きなイベントを控えている人は、その日を綺麗な歯並びで迎えたいと思う反面、スケジュール通りに矯正が終わらなかった場合を考えてしまうものです。歯列矯正にはどれくらい時間がかかるのか、治療期間が変動してしまう理由について確認していきましょう。
【一般的なスケジュール】
歯列矯正にかかる時間は、人によって異なります。症状によっても前後しますが、それ以外にもマウスピースかワイヤー矯正か、部分矯正か全体矯正かによっても変わってくるので、一概に「これくらいで終わる」と言えないのです。とはいえ、大体の目安はあり、大人の場合は治療に1~4年ほどかかると考えておく必要があります。なぜ年単位の時間がかかるのかと言えば、歯を動かすための「動的矯正治療期間」と、並び終わった歯を安定させるるための「保定期間」の2つが必要だからです。歯を動かした後、「リテーナー」と呼ばれる装置を使って固定しないと、歯が元の位置に戻ってしまい治療が無駄になってしまうこともあります。
歯列矯正では、まず矯正相談の後に精密検査を行い、治療計画や矯正治療費の見積りを立てます。歯列矯正は保険適用の治療ではないので、具体的にどれくらいの期間がかかり必要なお金がどれくらいなのか、治療を始める前に知っておく必要があるのです。矯正が始まると、まず虫歯治療や抜歯などを行って口の中の状態を整えてから矯正器具(ブラケット)を装着します。この矯正期間は半年から2年ほどかかり、その間1~2ヵ月に一度のペースで診察を受けて歯の動きを確認することになります。歯並びが整ったら矯正器具を外して保定器具を付け、1~2年間の保定期間に入ります。この保定期間が終われば無事通院は終了です。
【期間が変化する要素とは?】
歯列矯正の治療期間は、歯の状態や治療方法で変化します。まず、矯正治療を始める前に虫歯や歯周病の治療を行う必要があるので、虫歯が多かったり歯周病が重くなっている場合はその治療期間を長く取る必要があります。歯周病が深刻化して歯がグラついている場合、歯列矯正を始められない可能性もあります。また、歯並びに重度の問題を抱えている人より、ある程度歯並びが整っている人の方が矯正期間は短くなる傾向があります。矯正が早く終わる人の特徴としては、歯の動きが良い人は勿論ですが、きちんと定期的に通院することも大切です。
矯正期間は治療方法によっても変わります。主に前歯だけを対象にした部分矯正は、治療期間が数ヶ月~1年程度と短いことが多いです。部分矯正で治療するのはかみ合わせ治療が必要ない軽微な症状だからというのが理由です。矯正器具を歯の裏側に付ける裏側矯正は、一般的な表側矯正より若干治療期間がかかります。マウスピース矯正は全ての不正咬合に対応できる訳ではありませんが、表側矯正と治療期間は殆ど変わりません。
【治療期間が延びてしまう理由は?】
矯正治療期間が長くなってしまう要因として、治療中の不適切な行動や習慣が指摘されています。これらは患者が努力しなければならない点なので、矯正歯科医と相談しながら対策を取る必要があります。まずよく指摘されるのが装置の不適切使用です。マウスピース矯正では、食事中など任意のタイミングで取り外しが可能なのですが、一方で装着時間が短くなってしまうケースがよくあります。定められた装着時間が短いと当然矯正にかかる時間は長くなってしまうので、「外したら装着する」習慣を付ける必要があります。
定期的な診察やメンテナンスを怠ってしまう、というのも良くある失敗です。歯列矯正中は歯がきちんと動いているか、歯や歯ぐき、矯正装置にトラブルが起こっていないかを確認するため定期的に通院する必要があります。これを怠ってしまうと、適切な調整や検査が行われず歯の移動がスムーズに行われない場合があるのです。痛みや違和感がないと歯医者には足が向かないという人もいますが、スケジュール通りに治療を終えるためにも通院習慣をきちんと守るようにしましょう。
生活習慣や食生活によって治療が長引いてしまうこともあります。ブラケットを装着すると、通常よりも歯が磨きにくくなると同時に歯に汚れが溜まりやすくなってしまいます。毎日の歯ブラシを徹底し、虫歯や歯周病が発生しないよう気を配る必要があります。歯石がたくさん付着すると歯の動きを遅くする場合もあります。また、極端に固い食べ物や粘着性のある食べ物は、矯正器具に大きな負担をかけてしまいます。咬む力が強い人も同様です。適切な咬み方や力の入れ具合、食生活にも気を配る必要があります。
【治療スケジュールを頭に入れておこう】
歯列矯正は時間がかかる治療で、年単位の期間を必要とします。しかし歯の状態や治療方法によってこの期間は変動するため、自分の場合はどれくらいかかりそうか矯正歯科医に確認しましょう。治療期間中は定期的な診察が必要で、これも全体的な治療期間に影響を与えます。通院スケジュールをしっかりと確認して、必ず守らなければなりません。